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ブランディング

Branding
更新日
2024年03月11日

「ブランディング」とは、企業や団体においてブランド力を高めるための方策のことである。今日、クリエイターや企業・団体がひとつの世界観やイメージを戦略的に訴求することは、当たり前のように行なわれている。その第一段階として、1980年代から加速度的に整備されるようになったコーポレイト・アイデンティティ(CI)があり、ロゴマーク、コーポレイト・カラー、タイポグラフィなどの統一と徹底によって、企業・団体はそれぞれの社風や思想を、主にヴィジュアル・デザインを通して発信できるようになった。そうした流れを受けるかたちで、個々の製品、その集合や組み合わせ、全体がつくり出すムードやライフスタイル、それに伴うサーヴィスを、トータルに繰り広げる「ブランディング」(ブランドの設定と展開)が90年代に盛り上がる。CIとの大きな違いは、「ブランド・イメージを提供するクリエイターや企業・団体」が主体なのではなく、「ブランド・ワールドが消費者やユーザーを誘導する価値観と志向性」のほうに重点が置かれているという点である。つまり、ある種のコマーシャルなマインド・コントロールとして捉えることができるだろう。特定のブランドについて、具体的な商品を「所有する」のみならず、例えば「店へ行く」「イヴェントに参加する」から「パッケージやライセンスに萌える」まで、それにまつわるさまざまな事象が成立するのもそのためである。

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補足情報

参考文献

『AXIS』vol.101,特集=ブランディング・イズ・デザイン,アクシスパブリッシング,2003