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ブルータリズム

Brutalism
更新日
2024年03月11日

ブルータリズムはイギリスの建築家アリソン&ピーター・スミッソンによって1953年に定義された用語で、直接的で生な素材の使い方を指向する建築理念と建築様式のこと。66年に刊行されたレイナー・バンハムの著書『The New Brutalism: Ethic or Aesthetics?』に倣い「ニュー・ブルータリズム」と呼ぶこともある。ル・コルビュジエが「béton brut(ベトン・ブリュット)」(フランス語で生のコンクリートを意味する)と呼んだコンクリートによる荒々しい仕上げを特徴とするが、同様の理念のもとに、レンガ、ガラス、鉄、石といった素材を使った例も含む。第二次世界大戦後、福祉国家として再建を試みるイギリスで、造形主義が復活し、モダニズム建築が本来の機能主義を離れる傾向があった。それを受け、真のモダニズムへの原点回帰を求め、打ち放しコンクリートのように素材や設備をそのまま見せ、ロマン主義や神秘主義を排除しようとした。50年代から70年代に隆盛し、代表的な例にル・コルビュジエによる《ユニテ・ダビタシオン》(マルセイユ、1952)、ルイス・カーンによる《フィリップ・エクスター・アカデミー図書館》(ニューハンプシャー州エクスター、1965-72)、後のアーキグラムのメンバーなどが設計に関わった《ヘイワード・ギャラリー》(ロンドン、1968)などがある。

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参考文献

The New Brutalism: Ethic or aesthetic?,Reyner Banham,Architectural Press,1966