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ポスト・ミニマリズム

Post-Minimalism
更新日
2024年03月11日

ミニマリズム以後(post)の60年代末から現われた彫刻の動向のこと。代表的な作家にエヴァ・ヘス、ブルース・ナウマン、リチャード・セラらがいる。この語の初出は、ヘスに関するロバート・ピンカス=ウィッテンの1971年の論考(「Eva Hesse: Post-Minimalism into Sublime」)である。のちにピンカス=ウィッテンは、ポスト・ミニマリズムを主題とした書物も著わしている。彼は、ヘスに代表されるような身体的な触覚性を喚起する柔らかく脆い素材の使用と制作のプロセスを強調する作品の登場は「ミニマリズムに典型的であった寡黙な無表情性と色彩的アピールの欠如に対する反動」であると指摘した。こうした作品においては、ミニマリズムの作品で多用された堅い工業用素材に代わって素材の可塑性、重力、時間的プロセスなどに焦点が当てられ、結果として予期されない形態の発生や、観者の知覚や体感へと波及する作品の力学的強度などが探求された。また、批評家R・E・クラウスは、キャンヴァスを床の上に拡げ、激しいジェスチュアによって制作するJ・ポロックの制作行為に注目し、R・モリスやR・セラの作品においては、ポロックの身体性や水平性、現実的で物理的な時間や重力などが導入されている点を指摘している。

著者

補足情報

参考文献

Postminimalism,Robert Pincus-Witten,Out of London Press,1977