民家
- Minka
- 更新日
- 2024年03月11日
庶民の住宅の総称。在郷武士や足軽など、ある階層以下の武士の住宅も民家に入れる場合もある。住屋形式として、農家と町屋に大別される。民家は、建てられた当時の生活や文化に強く影響を受けており、地域によって固有の姿を見せている。これまで多くの民家研究がなされてきたが、1916年に佐藤功一、柳田国男、今和次郎などにより発足された白茅会によるものがその発端とされる。彼らの活動は、わずか1年余りで終わってしまったが、メンバーのひとりである今は、その後も民家研究を続け、22年に『日本の民家』を執筆した。この著書は、それまで光を浴びなかった民家を、建築学の対象として広く社会に認知させることとなる。しかしその後、明確な調査方法が定まらず、民家研究は大きな進展が見られなかった。民家研究を著しく飛躍させた人物に、太田博太郎、伊藤ていじ、大河直躬などがいる。彼らは、57年に奈良県の今井町において、現在は重要文化材である《今西家》を含む、民家群を調査し、編年法を編み出した。これは、それまで不可能であった、民家の年代判定を可能とさせた。また、それ以後の調査において、大河たちは、民家の調査方法をマニュアル化し、民家調査基準を作成。この基準により、全国的な調査が可能となり、文化財保護委員会は64年、65年の両年、全国の民家調査を実施した。この事業は、77年まで行なわれ、民家の重要文化材指定数も著しく増加する。結果として、今日350棟を越える民家が重要文化財として登録されることとなった。
補足情報
参考文献
『重文民家と生きる』,全国重文民家の集い,学芸出版社,2003
『今井町 蘇る自治都市 街並み保存とまちづくり』,八甫谷邦明,学芸出版社,2005
『近世民家の成立過程』,草野和夫,中央公論美術出版,1995