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「ヤング・セブン」展

“Young Seven”
更新日
2024年03月11日

1964年1月30日から2月15日まで、東京都中央区の南画廊で開催された展覧会。企画者は美術評論家の東野芳明で、出展作家は荒川修作、岡本信次郎、菊畑茂久馬、工藤哲巳、立石紘一、中西夏之、三木富雄の7名。南画廊は、志水楠男が56年に設立した画廊であり、開廊当初から駒井哲郎や今井俊満の個展、また59年にはジャン・フォートリエを海外から招待しての個展など、戦後の現代美術の動向において極めて重要な役割を果たした画廊である。「ヤング・セブン」展の作家では、工藤が59年、菊畑が62年にそれぞれ個展を行なっており、以後も64年に菊畑の第二回展、65年の荒川、三木の個展と続いた。展覧会カタログ収載の「ヤング・セブン 雑録」冒頭で、東野は展覧会名と当時「ヤング・セブン」の愛称で知られた東芝のトランジスター・ラジオのCMソングとの関係を認めながら、作家の共通点を以下のようにまとめている。第一に、1935年以降の出生(ただし岡本は33年生まれ)で当時「第三の新人」と呼ばれた作家であること。第二に戦争の記憶との断絶による「日常」との関わりにおいて、廃物を素材にした「反芸術」の作品を制作しながら、個々の表現にその傾向に対する脱却(東野によれば「唐突な変身」)が見られること。なお展覧会初日には、主催者である読売新聞社からの読売アンデパンダン展中止の通達を受けて、ブリヂストン美術館ホールで公開討論会「『反芸術』是か非か」が行なわれ(司会者に東野、登壇者に三木がそれぞれ参加)、その後、東野と宮川淳による「反芸術論争」が『美術手帖』誌面で繰り広げられた。

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参考文献

「ヤング・セブン」展カタログ,南画廊,1964