「ユーラリール」
- “Euralille”(仏)
- 更新日
- 2024年03月11日
1994年に完成した、TGVのリール・ヨーロッパ駅の周辺開発。英仏海峡トンネルの開通と、オランダへのTGV乗り入れの決定を契機に、フランス北東部の小都市リールにおいて、「ユーラリール計画」が開始された。89年には、レム・コールハース率いるOMAがマスター・プランナーに任命される。旧市街に隣接したリール・フランドル駅とリール・ヨーロッパ駅、地下鉄に囲まれた地域を中心とした、110ヘクタールにも及ぶ大規模な計画は、中世の都市を基盤とした街区の中心部をTGVが直線的に通過する野心的なプロジェクトで、計画の主要建築物として、2万平方メートルのホールを内包する《コングレスポ》をOMAが設計し、店舗やホテル、集合住宅の複合施設である《ユーラリール・センター》をジャン・ヌーヴェル、駅の上を跨ぐように建てられたオフィス・ビル《リヨン・クレジット・タワー》をクリスチャン・ド・ポルザンパルクが設計し、それぞれ94年のユーロスター開業時期に前後して完成している。ただし、計画の進行に伴い、経済状況が悪化したため、篠原一男が設計を担当していたホテルや、リチャード・ロジャースのメディア・センターの計画は中止された。
補足情報
参考文献
Euralille: The Making of a New City Centre: Koolhaas,Nouvel,Portzamparc,Vasconi,Architects,Espace Croisé,Isabelle Menu ed.,Birkhäuser,1996
『10+1』No.19,「90年代都市プロジェクト」,奈尾信英,INAX出版,2000
『新建築』2008年10月号,「フランスの現代都市デザインを巡る(第1回)ユーラリールの20年」,鳥海基樹,新建築社
『OMA@work.a+u Rem Koolhaas』(『a+u』臨時増刊),Rem Koolhaas、OMA,エー・アンド・ユー,2000
『新建築』1991年5月号,「ホテル イン ユーラリール計画」,篠原一男アトリエ,新建築社