要素主義(エレメンタリズム)
- Elementalism(英), Elementarisme(蘭)
- 更新日
- 2024年03月11日
第一次世界大戦後にオランダで興った芸術運動で、デ・ステイルの基本理念となっていたピエト・モンドリアンによる新造形主義を超える理論として、グループのリーダー、テオ・ファン・ドゥースブルフが1924年に提唱した美術理論。雑誌『デ・ステイル』において主張された。垂直線と水平線、三原色(赤・黄・青)と無彩色(白・黒・灰)の組み合わせからすべてが構成された純粋な抽象造形を目指す新造形主義は、単純で平板な造形となりがちで、表現の自由さや多様性を奪う傾向が否めなかった。特に絵画よりも建築や家具、インテリアといった空間デザインにおいて理念を実践しようとしていたデ・ステイルにとって、新造形主義を徹底して立方体と直方体、非曲面で空間を構成することは困難を極めた。こうした状況を打破するためにドゥースブルフが主張した要素主義は、新造形主義が重視する垂直線と水平線による垂直交差の構図に対角線を導入しようとするもので、20年代半ば以降、31年にドゥースブルフが亡くなりグループが解体するまで、デ・ステイルの指導理論となった。このことにより、ドゥースブルフとモンドリアンは対立し、モンドリアンはデ・ステイルを25年に脱退した。
補足情報
参考文献
「デ・ステイル1917-1932」展カタログ,セゾン美術館,1997
『リートフェルトの建築』,奥佳弥,TOTO出版,2009