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歴程美術協会

Rekitei Bijutsu Kyoukai
更新日
2024年03月11日

昭和戦中期の革新的な日本画団体。1938年4月結成。創立時の名称は歴程美術研究会で、船田玉樹、岩橋永遠、山岡文良などが名前を連ねた。同年11月に神田・東京堂ギャラリーで第1回展を開催し、丸木位里などが加わった。その後第2回展より公募展として42年の第8回展まで開催したが、その間に、山崎隆、八木虚平(一夫)などが加わり、陶芸、写真、盛花、刺繍の作品なども出品されるようになっていた。39年に発行された機関誌『歴程』創刊号にはモホイ=ナジによる論文「アメリカのバウハウスに就いて」が掲載され、同時代の欧米の美術動向を強く意識していたことがうかがえる。また同号の「声明書」では、同会のあり方を「因習的なる思想と技術を拒否し造型芸術の本質に立ち返り反省と再出発を自覚した人々による団体」と規定し、戦時下にありながら新時代の日本画を目指していた。東京での研究会には瀧口修造、長谷川三郎、福沢一郎も参加するなど、国内の前衛的な洋画家や美術家たちとの交流も盛んに行なっていた。同会の展覧会に出品された作品としては、山岡良文によるカンディンスキーのごとき純粋抽象の日本画、丸木位里や山崎隆による巨大で抽象的な屏風絵、岩橋永遠によるシュルレアリスム風の絵画などが知られる。戦後、同会に参加していた山崎隆と八木一夫に加え、三上誠、星野眞吾、鈴木治らによって、48年に京都の日本画団体であるパンリアルが結成された。

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参考文献

『昭和期美術展覧会出品目録 戦前編』,東京文化財研究所編,中央公論美術出版
「『日本画』の前衛 1938-1949」展カタログ,山野英嗣,川井遊木,永井明生編ほか編