ロウブロウ
- Lowbrow
- 更新日
- 2024年03月11日
主にロサンゼルスで1970年代後半に出現したストリート・アート。「無教養な美術」を意味する。ファインアートであることにこだわったバッド・ペインティングに対して、ロウブロウはサブカルチャーという枠組みのなかで表現する点で区別される。ハイブロウは西洋が創り上げたデッサン、写生、ドローイング、油彩という伝統的なルールに則り展開されるが、ロウブロウはそれらを無視する。ポップ・シュルレアリスム的な要素をファインアートでは認められない漫画的・イラスト的表現に変換し、地下鉄の駅構内に描くグラフィティや身体に刻むタトゥーなど、従来の美術の枠を超えた表現を展開した。また、ロウブロウは「落書き」を意味する「ドゥードゥル・アート(Doodle Art)」も内包している。一般的に風刺よりもユーモアが重視され、美術の領域を逸脱することを目指した作品が多い。人種差別やドラッグやアルコール中毒などのアメリカの病と若者を中心とした虚無感は、当時のロックの歌詞やアメリカン・ニューシネマなどの商業映画に溢れているが、ロウブロウもまた同様の感覚に支配されていたといえよう。