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2011年10月01日号のバックナンバー
フォーカス
人々の記憶と復興の願いをこめて。
[2011年10月01日号(梁瀬薫)]
9.11同時多発テロから10年。グランド・ゼロの追悼施設の一部がようやく一般に公開されることとなった。崩壊した貿易センタービル跡地の南と北の棟があったところに、正方形の巨大な池が完成した。アース・ワークを思わせるこの記念碑は2004年の公募で5,000件以上のプロポーザルから選ばれたマイケル・アラドによるデザインだ。池を囲む壁には93年の爆破事件の犠牲者も合わせた2,983人の名前が刻み込まれた。深く掘られた池に滝のように流れる水は、消えない悲しみを讃え、鎮魂の祈りの場となった。
今年はニューヨークの美術館や画廊でも9.11に関するさまざまな美術展が開催された。テロによる惨事そのものや、「失われた10年」とされる9.11を境にしてアメリカが抱えてきた政治への批判、戦争、不況などを訴えるというアートではなく、むしろ人々の記憶を追うような作品や崩壊から復興への課程、人の絆をテーマにしたコンセプチュアルな作品が印象に残った。
キュレーターズノート
今和次郎 採集講義/今純三と考現学/再考現学
[2011年10月01日号(工藤健志)]
去る9月11日はアメリカ同時多発テロから10年、そして東日本大震災の発生からちょうど半年という節目の日。現代社会のあり方や現代人の生活についてあらためて考えてみた人も多いのではなかろうか。
菊畑茂久馬 回顧展──戦後/絵画、混浴温泉世界2012
[2011年10月01日号(住友文彦)]
いま、これを書くために思い出しても展覧会を見たあとの幸福感が残っている。残念ながら長崎県美術館の会場には足を運べなかったのだが、それでも充実した気持ちを抱いて美術館を出たあと、雨が降る大濠公園を眺めた。