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2016年12月01日号のバックナンバー
フォーカス
舞台芸術を支えるローカルな土壌と世界的同時代状況への批評性
──KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2016 AUTUMN
[2016年12月01日号(高嶋慈)]
「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2016 AUTUMN」が10月22日~11月13日にかけて開催された。メイン会場であるロームシアター京都のリニューアルオープンが2016年1月であったため、今年は変則的に春と秋の2回開催となった。第7回目となる今回の公式プログラムでは、12組のアーティストによる計15の公演や展示が行なわれた。ラインナップで目につくのは、近代国民国家を編成する力学──言語、歴史、国籍、民族、国境といった概念的/物理的な「境界」──について問い直す演劇、パフォーマンス作品だ。ここには、世界的な難民問題、アメリカ大統領選挙戦、4年後に控えた東京オリンピック、ナショナル・アイデンティティの高揚と排斥意識、憲法改正への動き、沖縄基地問題といった社会情勢に対して、言語の明晰さと肉体の強度をもって対峙しようという強い意志が感じられる。本稿では、これまでのフェスティバルの経緯を辿り、京都の舞台芸術を支えるローカルな土壌について紹介するとともに、「舞台芸術の基盤への多角的な問い」という視点からプログラムを総括的に振り返る。
キュレーターズノート
畠山直哉写真展「まっぷたつの風景」
[2016年12月01日号(伊藤匡)]
畠山直哉は、石灰石採取場や爆破の瞬間をとらえた「LIME WORKS」や都市の地下や裏側に光をあてた「アンダーグラウンド」などで知られる現代日本を代表する写真家の一人である。同時に畠山は、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市出身で、震災後の故郷陸前高田の風景を定期的に撮り続けている。震災の記録者の一人でもある。
せんだいメディアテークで開かれている今回の展覧会は約200点が展示されている。
an/other avant-garde china-japan-korea 釜山市立美術館
[2016年12月01日号(能勢陽子)]
2016年9月3日から11月30日にかけて、韓国・釜山で釜山市立美術館とF1963を会場に釜山ビエンナーレ2016が開催された。3つのプロジェクトから成るこの国際展を、椹木野衣企画の日本セクションを含むプロジェクト1「an/other avant-garde china-japan-korea」を中心にレポートする。