バックナンバー
2018年03月15日号のバックナンバー
フォーカス
ビル地下に出現した「原っぱ」──会田誠展「GROUND NO PLAN」
[2018年03月15日号(村田真)]
今年2月10日から2週間にわたって、東京・青山通りの特設会場で会田誠展「GROUND NO PLAN」が開催された。現代美術の分野のみならず、建築や都市論に関わる専門家の間でも大きな論議を呼び、最終日には入場のため、長蛇の列ができたという。この展覧会は大林財団が始めた新しい助成プログラム「都市のヴィジョン──Obayashi Foundation Research Program」で選ばれて実現したもの。推薦選考委員の5氏(住友文彦、飯田志保子、野村しのぶ、保坂健二朗、藪前知子)の全員一致で決定したという。
長年、東京を拠点にし、この都市の激しい変遷ぶりを目撃してきた村田真氏にこの展覧会について寄稿していただいた。
キュレーターズノート
ローカル・テキスタイル 1「TO&FRO うすく、かるく」
[2018年03月15日号(鷲田めるろ)]
金沢21世紀美術館のデザインギャラリーで展覧会を企画することになった。開館後10年以上になるが、私がデザインギャラリーで企画を行なうのは初めてである。デザインギャラリーは無料ゾーンにある展示室で、開館当時は「学芸課」ではなく「交流課」の管轄であった。つまり、地域の大学や研究機関、民間企業、そして隣接するミュージアムショップと連携し、地域の産業をデザインの面から刺激することを期待されていたのだ。自分が企画するにあたり、金沢の地域の産業に向き合いたいと考えた。
「こんにちは! 港まち手芸部です。」展から見た風景
[2018年03月15日号(吉田有里)]
「アートそのものは、まちを変えるためには存在していません」。まちづくりと連動したアートプログラムとして挑発的な言葉をスローガンに掲げMAT, Nagoyaが活動を始めて約3年。アーティストがスタジオを構えたことをきっかけに、新たなコミュニティが生まれ始めている。今回は、アーティスト宮田明日鹿の活動と彼女が部長をつとめる部活「港まち手芸部」について追っていきたい。
トピックス
日本・フィンランド発 2つのアートプロジェクト──アートが私達にもたらしてくれるもの:フィンランド国立アテネウム美術館×DNP ミュージアムラボ セミナーレポート[前編]
[2018年03月15日号(坂口千秋)]
「幸せになる美術鑑賞」をテーマに、心の働きや記憶への作用を反映させた美術鑑賞プログラムの共同研究を進める、フィンランド国立アテネウム美術館とDNPミュージアムラボは、高齢化社会を対象とした新しい美術鑑賞の手法の開発に取り組んでいる。昨年そのキックオフを記念したシンポジウム「ミュージアムの幸せ効果 ──美術鑑賞の可能性から考える──」が開催され、artscapeでもレポートした。その続編となるセミナー「日本・フィンランド発2つのアートプロジェクト ──アートが私達にもたらしてくれるもの」が1月、東京で開催された。2019年の日本とフィンランド外交関係樹立100周年に向けて進行中の2つのプロジェクトを軸としたこのセミナーの模様を、2回に分けてレポートする。前編では、2019年完成を目指して取り組む高齢者を対象とした美術鑑賞プログラム研究の中間報告、後編ではアテネウム美術館が企画中の展覧会「北欧のジャポノメニアⅡ」の概要と、北欧のジャポニズムについてのパネルディスカッションの様子をお届けする。