バックナンバー
2018年04月01日号のバックナンバー
フォーカス
【パリ】偉大な科学者の功績を展示する方法──「実験者、パスツール」展
[2018年04月01日号(栗栖智美)]
パリは年明けからセーヌ川の増水と大雪による交通機関の麻痺など自然災害によるアクシデントに見舞われたが、ようやく肌寒さの中に春の気配を感じられるようになった。インフルエンザ・ワクチンを打ちましょうという広告も落ち着き、三寒四温を繰り返しながらパリは夏のバカンスに向けて陽気さを取り戻そうとしている。
今回訪れたのは、グラン・パレの科学技術博物館「発見の殿堂」で開催中の「実験者、パスツール(PASTEUR L'EXPÉRIMENTATEUR)」展だ。細菌学者パスツールの功績を演劇仕立てにした展覧会を見る前に、会場となったグラン・パレ周辺について触れてみたい。
キュレーターズノート
いまここでしか見ることのできない展覧会をつくる
──学芸員としての35年を振り返って
[2018年04月01日号(川浪千鶴)]
私が福岡県立美術館から高知県立美術館に移籍したのは、2011年の7月。今年の3月末に約7年間の任期が終了する。美術館の学芸員を都合35年以上続けたことになる。好きなことを仕事にできてうらやましいとよく言われるが、好きだけではこうも長くは続けられなかっただろう。とはいえ、飽きずに歩んできた道のりを振り返ってみれば、それが美術と美術館の魅力を説明することにつながるかもしれない。
京都市立芸術大学の版画専攻の卒業制作展より
[2018年04月01日号(中井康之)]
定点観測的に毎年開催される美術大学・芸術大学の卒業制作展を見ている者は少なくないだろう。私もその一人である。特に、このレポートでも何回か取り上げてきたように、関西圏に於いて京都市立芸術大学作品展は注視せざるを得ない質を維持し続けている。一時期、東京のよく知られたコマーシャル・ギャラリーのギャラリストが跋扈して青田買いをしている、というような噂も飛び交った。ことの真相はともかく、今でも同展で美術関係者と出会うことはままある。
AOMORIトリエンナーレ2017
トピックス
日本・フィンランド発 2つのアートプロジェクト──アートが私達にもたらしてくれるもの:フィンランド国立アテネウム美術館×DNP ミュージアムラボ セミナーレポート[後編]
[2018年04月01日号(坂口千秋)]
セミナーレポート「日本・フィンランド発2つのアートプロジェクト──アートが私達にもたらしてくれるもの」前編では、フィンランド国立アテネウム美術館とDNPミュージアムラボが取り組む、高齢者を対象とした美術鑑賞プログラム研究の中間報告をレポートした。後編はセミナー第2部。2019年の日本とフィンランド外交関係樹立100周年に向けて現在アテネウム美術館が企画中の展覧会「北欧のジャポノメニアⅡ 1900-1970」(仮称)をめぐる講演とパネルディスカッションが行なわれた。
デジタルアーカイブスタディ
映画の聖地「国立映画アーカイブ」誕生──文化と経済を循環させる保存の力
[2018年04月01日号(影山幸一)]
今春、2018年4月1日、国立美術館の映画専門機関として「国立映画アーカイブ」(英語名称:National Film Archive of Japan[略称 NFAJ])が東京・京橋に誕生した。2年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックを前に、その文化プログラムが全国各地で行なわれているほか、文化庁が東京・霞が関から京都市へ、2021年度中の本格移転に象徴されるように、日本の文化政策は歴史的転換期を迎えている。「国立映画アーカイブ」は、東京国立近代美術館フィルムセンターを改組し、独立行政法人 国立美術館の6館目の機関となる。わが国初の映画文化振興のナショナルセンターとして機能を強化させ、国立の施設では初めての「アーカイブ」という名をつけた映画アーカイブだ。1895年にフランスで生まれ、娯楽性と芸術性が共存する映画と、デジタルアーカイブはどのように連関していくのだろうか。初代館長の岡島尚志(おかじま・ひさし)氏に「国立映画アーカイブ」の展望を伺った。(artscape編集部)