バックナンバー
2014年07月01日号のバックナンバー
フォーカス
“Under the Same Sun: Art from Latin America Today” vs“James Lee Byars: 1/2 an Autobiography”
[2014年07月01日号(梁瀬薫)]
まったく異なるアプローチでグローバル社会に訴えるパーフェクトな2つの展覧会。
ラテンアメリカのトロピカルな現代アート展に見る現実社会とジェイムス・リー・バイヤーズのモノクロームなインスタレーションから体感する神秘。
キュレーターズノート
「あなたの知らない大川美術館展」、「プレイヤーズ──遊びからはじまるアート」ほか
[2014年07月01日号(住友文彦)]
大川美術館は1989年に三井物産勤務を経てダイエーの副社長を務めた大川栄二氏が引退後に、自らのコレクションを展示する個人美術館として群馬県桐生市に開館した。市内を見渡せる山の斜面にあった第一勧業銀行の元社員寮を改装しているため、大規模な展示室はないが作品を親密な距離感で楽しめる魅力的な空間を持っている。設計は、松本竣介の息子である松本莞氏が手がけている。コレクションには、パブロ・ピカソ、マックス・エルンスト、ベン・ニコルソンなどの海外著名作家も含まれるが、松本竣介と野田英夫をはじめ、上村松園らの日本画やオノサト・トシノブや瑛九らの優れた日本の美術作品が数多く含まれている。さらに、敗戦からの復興と高度経済成長の時代が、そのまま人生と重なっているような個人がどのように美術と向き合ってきたかを知る意味でも非常に興味深い。