クリテリオム61 嵯峨篤 作品 [MUMI+cube on white]
壁が写っているだけの写真に、「あれ? 作品が写ってないや!」などと早合点しないで、ここは一つじっくり写真を見て欲しい。師走も終わったばかりなのだから。この壁は紛れもなく作品でタイトルは《cube on white》
白い壁が奧の壁と交わるあたりに目をやると、床や天井のラインが壁に映りこんでいるのが見える(ハズ)。このことに気づいてから「あれ?」と思ってもらえたら最高なのですが。
どうでしょう。
なんの疑問や不思議も感じずに、「うん、映ってるね。(だから?)」などと冷め切った姿勢は無し。ご勘弁を。嵯峨篤渾身の1点なのだから。
映りこみは、クリテリオムの会場のこの壁が鏡面になっていることを意味する。
ホワイトキューブの壁そのものを研ぎあげて鏡面に仕上げたのだ。
この行為こそが、嵯峨篤、渾身のワークなのだ。膨大な時間と集中力とエネルギーを費やして誕生させた、半透明な実在する壁。
この壁は元々の駆体壁なのだから、建築的なリノベーションと呼べなくもない。
嵯峨は絵画画面の探求・追求から「表層」に辿り着く。表層への働きかけだけで空間(部屋)の質や印象はがらりと変わった。空間からみればインスタレーションとも言えるだろう。
だからこそ、この週末の3連休の間にぜひ、体験してもらいたいとおもう。
会期がおわると、この白い壁はまた普通に白く塗装されて、どこにでもあるありふれたホワイトキューブへと戻される。
この壁のことしか書き込まなかったけど、ほかの壁3面には、白の正方形の作品《MUMI》が6点展示されている。これはこれで充分見応えがあるものだ。
未だ見ず人はぜひ、この連休中に!本当に是非。
見逃したら当分目にすることはできないのだからね。
もちろん場所は水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室。
鑑賞には同時開催中のメイン展「まほちゃんち」の入場チケットが必要となります。
作品データ
[MUMI+cube on white]
素材:EP塗装(白)、EPパテ(薄付け用)
サイズ:MUMI 88×88×2.7cm、cube on white 830×455×300cm
この一覧は、次のエントリーを参照しています: ぜひ見て欲しい・1月10日まで
湯島の人々 from shinya
トラックバック時刻: 2005年01月08日 23:46