クリテリオム61の展示が昨日で終わる。
今日は朝から作品を撤収し原状復帰をする日。
壁からタブロー作品《MUMI》6点を外し梱包し、壁のビスを抜きパテを入れ、床のエッジのホワイト・ラインを剥ぎ取り、壁を白く2回ローラーで塗る。
瞬く間に普通の見知った白い空間になっていく。
ある世界を表出させるために注がれる時間とエネルギーに比べて、それを消し去る時の容易さというかエネルギーのいらなさを、いつものように経験する。
そして創造が膨大なエネルギーの賜物であることを、このときばかりは、つくづく思い知る。
すでに消し去ってしまった嵯峨さんの作品のあった空間を前に、
ここに出現していた世界・作品を記憶に留めていてくれる人が多いくることを願う。
このように書きながらも言、常にそんな感傷に浸っているわけでもなく、
自分自身はかなりドライなものだ。
でも、なにかを創出する際に「エネルギー(情熱・時間・お金)」が必要なことは身をもって知っているし、それらを束ねるために現場経験とスキルと言葉(概念)が必要なことも知っている。表現者が作品をつくるのが簡単でないように、展覧会やプロジェクトをつくるのも端で見るよりも簡単じゃない。もっともそれが面白くてやっているのだから誰にも文句は無いんだけどね。
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昨日までいた雪に覆われた青森はまさに「別世界」だった。夏場だと青森市内から車で20分程度だが、雪の冬には倍の時間をみるとのこと。最後の夕食をみんなで済ませて、余裕をもって店を出て、空港に送ってもらう。多くの人にお世話になった青森を後にして、遅れたものの無事に飛んだ最終便に乗って帰ってきた。
便の都合でもう1泊した藤さんが夜の内に仕事をしたみたいで、藤さんのブログに青森の3日間のレポートが早速ある。藤さんも楽しかったようでよかった。ボクと反対側に座っていた藤さんが、ボクの写真の逆から写したものをアップして、聞き入る日沼さんの顔が見える。同じようなタイミングで前後して撮影した感じ。
ぼくも建築現場で同じような写真を写している。それがこれ。
煉瓦の外壁は最終的には白く塗られる。部分的に白い箇所がそのテストを示す。煉瓦壁面と煉瓦天井面とがせめぎ合うエッジの処理のプランを聞きながら、秋元氏は感嘆の声を上げていた。ま、それだけ細部の始末へのこだわりの仕上げが予定されている。目にできる日も近い。進捗状況は現場を担当する、青森県立美術館設計監理担当・西澤氏が更新を続ける“from aomori with love”に詳しい。竣工は2005年9月。
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相対的 from shinya
トラックバック時刻: 2005年01月19日 23:56