江戸時代中期以降、政情が安定し、参勤交代によって街道や宿場が整備され、人々は次第に「旅」を楽しむようになりました。藩を超えた移動に許可が必要な時代、伊勢参りなどは、観光の先駆けといえます。初めて見る各地の景色や、名物に心ひかれたことでしょう。

 本展覧会では、旅先の思い出を綴った筆と墨壺を組み合わせた携帯用の筆記用具である「矢立」、当時の旅行ガイドブックともいえる「道中記」、大井川の川越しなどを題材として旅への憧れを後押しした「浮世絵」などを中心に紹介します。