中国は唐の時代に生きたとされる寒山と拾得。世俗から離れ、詩作に耽る一方でぼろを身につけ奇行をはたらく。しかし実のところ彼らの正体は、文殊菩薩と普賢菩薩であるという― まるでおとぎ話のようなキャラクターに、これまで多くの芸術家たちが魅せられ、筆を走らせてきました。横尾さんも彼らの在り方に芸術家としての理想像があるとして、およそ1年間の間に102点もの絵を描いたのです。
曾我蕭白作品の新たな解釈から始まった横尾さんの探求は、やがて自由奔放に展開し、時には浮世絵の美人画や白ロシアの浮遊する恋人たち、はたまた一塊になって走るマラソンランナーとさまざまなイメージに寒山拾得の姿を投影していきます。
全て新作、当館では初公開です。画業40年を超えてなおパワーアップする横尾さんの今を是非ご覧ください。
※本展は、2023年9月23日~12月3日に東京国立博物館・表慶館で開催された「横尾忠則 寒山百得展」の巡回展です。