富士山信仰を世に広め、少なくとも500年以上にわたって富士山信仰の歴史・文化を支えてきたのが、冨士山御師(おし)です。
 御師は「御祈祷師(おんきとうし)」の略称で、祈祷を行う宗教者のことです。富士山の御師は、富士山を信仰対象とすることから「冨士山御師」と呼ばれました。江戸時代、富士山の登山口「吉田口」として知られた上吉田には、御師が営む宿坊が80~90軒建ち並んでいました。御師は自宅に登山者を泊め、寝食を提供し、弁当を用意し、案内人である強ごうりき力を手配しました。また、富士山の神仏を祀り、登山者のために祈祷を行うとともに、登山期である7~8月以外は、登山者が住んでいる地域で富士山の神札や土産を配って廻る檀家廻りをし、富士山信仰を世に広めてきました。
 本展では、冨士山御師の代表的な資料を展示し、そのヒミツを解き明かします。