齊藤義次氏は神奈川県横須賀市長沢出身で、昭和5(1930)年生まれです。初めて富士山に登ったのは17歳のときで、23歳で長沢を拠点とする富士講「丸伊講」の先達となり、富士登山45回、御中道(富士山の中腹を巡る修行)3回を成就するとともに、毎年三浦富士の山開きで富士講を代表する儀式「お焚上げ」を行ってきました。そして、令和6(2024)年に94歳で亡くなるまで、生涯をかけて富士山を信仰し、富士講文化を後進へ伝授してきました。
 齊藤義次氏は、毎年吉田口を訪れ富士登山をするとともに、本市では途絶えてしまった「お焚上げ」を、胎内祭(4/29)・大塚丘お境祭り(7/1)・吉田の火祭(8/26)で執り行うなど、多くの人々が富士講の伝統文化に触れる機会をつくってきました。また、平成25(2013)年の世界文化遺産「富士山‐信仰の対象と芸術の源泉‐」誕生に多大な貢献をしました。これらの功績により齊藤義次氏は、平成27(2015)年の富士吉田市制施行64周年記念式典において、本市から表彰されています。
 本展では、特に優れた富士講のリーダーを意味する「大先達」として知られた齊藤義次氏の生涯をたどり、富士講の伝統文化を紹介します。