旅先では、その土地ならではの「名物」を楽しみたいもの。風光明媚で由緒ある名所旧跡に、土産として持ち帰りたい工芸品、そして美味しいご当地グルメ。車や電車のない時代を生きる江戸っ子たちにとっては、京への長旅のみならず江戸市中を移動するだけでも、ちょっとした非日常を体験できる小旅行でした。
本展では、現在の関東から九州まで日本各地を主題とする浮世絵を出品し、画中に描かれたご当地グルメを取り上げます。また、文化7年(1810)に出版された『旅行用心集』より、江戸時代における旅の心得も併せてご紹介します。道中の厄除けや開運にご利益のある存在として同書に登場する神獣・白澤(ハクタク)と共に、全国のご当地グルメツアーへ出かけましょう。