アーティストの中村宏太が制作する作品は、いずれも身体性や偶然性、暴力性等といった身近に内在する要素を作品に取り込んでいます。そのコンセプトを軸に作り出される静謐さの中に緊張感のあるインスタレーション作品は、観る人の感覚に静かに揺さぶりをかけてきます。
本展は、「夢シリーズ」と「銃シリーズ」とで構成された展覧会になります。現実と夢の境界を表現している「夢シリーズ」は、眠りに落ちながら現実と夢が溶け合うような浮遊感や夜中に身体が動かなくなった不思議な感覚は、正体を突き止められない境界があり、その「あわい」がテーマになっています。また、「銃シリーズ」では、破壊をただ単に壊す・壊れることとみなすのでは無く、人を魅了する美をもたらすこともあり、ガラスや真鍮板等鏡面状の板に弾丸を打ち込み、穴や亀裂を生じさせることで、空間を異なる位相へと移行させ、観る者の意識を攪乱することを試みたものです。ミニマルでラジカルな側面も持ち合わせた造形性を志向した作品を発表するアーティストの新作展は、岡山県内初の展覧会になります。この機会に、中村宏太の作品世界観をお楽しみください。[美術館サイトより]