国文学者の池田弥三郎[大正3年-昭和57年]は、後世の万葉集研究に絶大な影響を与えた折口信夫の学問を継承し、古代学を中心としながら、万葉集研究(『万葉びとの一生』など)を含む国文学研究の他、民俗学、芸能史、言語文化研究を横断し、古代人の暮らしや心に、そしてそれに通ずる現代の日本人の暮らしや心に迫りました。慶應義塾大学(教授)を定年後の昭和55年に、洗足学園魚津短期大学(教授)に赴任しました。その学問の成果は、マスコミ出演やエッセイの執筆などの幅広い活動を通して、広く社会に還元されました。更に魚津に赴任した晩年には、日本海文化を全国に発信し(『魚津だより』『池田彌三郎 北陸を語る』)、海の神と山の神という、日本の神々の性格に関する未解決の問題に迫りました(遺稿「海神山神論」)。
 本展示では、その人柄や著作、富山との関わりなどを紹介します。写真や自筆原稿、書簡など多くの新発見資料で彩る「池田弥三郎の世界」をお楽しみください。