いわさきちひろは、野の草花や小さな生きものを大切に描いています。それらの絵には、心のふるさとであった信州の豊かな自然が感じられます。
ちひろが絵を描いていた50年以上前、日本は高度経済成長期まっただなかでした。各地で野山が切り開かれ、川や水辺がコンクリートで固められ、それまで見られた草花や生きものも減っていきました。
当時、ちひろは、「私は私の絵本のなかで、いまの日本から失われたいろいろなやさしさや、美しさを描こうと思っています」と語っています。そこには、開発が進むなか、自分が愛した自然を子どもたちに残したいという願いが込められていたのかもしれません。
本展では、ちひろの絵のなかの草花や生きものたちを、安曇野の自然とともに見つめます。生態学の視点やアートユニットplaplaxによるインタラクティブな作品を取り入れ、いろいろな「いのち」となかよく生きるにはどうしたらよいかを楽しく考えます。

同時開催:ちひろ美術館コレクション「野のいのち」