作家・徳田秋聲の自然主義的出発点に置かれる中編小説「新世帯(あらじょたい)」(明治41年)。本作が発表されたのは、この年「国民新聞」に入社し文学部長に就任した高浜虚子が同紙上に初めて創設した文芸欄(「国民文学」)でした。展示では、虚子が秋聲に執筆を依頼した経緯と発表までの背景についてご紹介するとともに、俳人として知られる虚子の編集者・小説家としての一面にスポットをあてます。
 また、虚子と秋聲の相互評、晩年になって虚子が金沢を訪れ、卯辰山の秋聲文学碑前で思い出すことなど、高浜虚子生誕150年の今年、虚子と秋聲ふたりの文学的交流についてご紹介します。