ー 小林和作没後50年 ー

 本年は、昭和49年(1974)11月4日にスケッチ旅行中の不慮の事故で亡くなった本市の名誉市民である洋画家・小林和作の没後50年の節目の年にあたります。小林和作が没したとき、中川一政は、「樹が倒れたようだ。その倒れたあとに青い空がみえる」といみじくもいったと伝わります。中川一政は、小林和作が洋画に転向した際の師匠であり、終生の友人でありました。戦後、神奈川県真鶴半島にアトリエを構えた中川一政は、福浦港などの風景、家族の肖像、薔薇や向日葵といったモチーフを繰り返し描きました。平成元年(1989)、中川一政が作品を真鶴町に寄贈されたことにより、その業績と芸術を顕彰するべく真鶴町立中川一政美術館が開館されました。

 本展は、当館の小林和作コレクションとともに真鶴町立中川一政美術館の作品を中心に約90点で構成されます。それぞれがアトリエを構えた尾道と真鶴は、「坂のまち」としても知られています。坂道を歩き街の人々に愛された二人の多彩な芸術の歩みをご紹介します。