室礼(しつらい)は平安時代、宴などハレの日に調度類を置いて室内を装飾したことに始まり、中世には現在の床の間の前身とされる押板に絵を掛け、燭台や香炉、花瓶を置いた儀礼的な座敷飾りが行われました。さらに初期の茶の湯では座敷飾りの作法が整えられ、侘び茶に移行しても床には掛物と花を飾る慣例が継承されています。
今回の茶道具展では、亡き人を偲ぶ「追善茶会」と長寿を祝う「米寿の年賀茶会」、さらに茶壺に入れた残り少ない茶をはたいて10月に催す侘びた風情を楽しむ「名残の茶会」と、11月初旬に新茶が詰められた茶壺の封を切る茶人の正月ともいわれる「口切の茶会」の計4席の茶会を想定しました。茶会ごとの趣向や、広間と小間、また設定した時期の季節に即した点前道具の取り合わせと共に、茶会に適した調度品もご覧いただきます。茶会を催す亭主の視点で、また招かれた客の気分でお楽しみください。