加藤孝造(1935-2023)は現在の岐阜県瑞浪市に生まれ、初め画家を志すものの、勤務する岐阜県陶磁器試験場(現 岐阜県セラミックス研究所)の場長だった五代加藤幸兵衛の助言に従い、陶芸の道へと転向します。さらに、荒川豊蔵との出会いを経て独立し、可児市の平柴谷に穴窯を築いて瀬戸黒や志野、黄瀬戸など美濃桃山陶を追求するようになりました。なかでも瀬戸黒は、焼成中の窯から引き出し、急冷させることで漆黒の肌を生じさせるもので、この技法により2010年には重要無形文化財「瀬戸黒」の保持者に認定されています。
展覧会では、18歳で日展入選の快挙を成し遂げた油彩画から試験場時代の作品、独立後の穴窯で焼成した瀬戸黒や志野、さらにこうした制作と並行して描かれた水墨画なども併せて、その多彩な全貌を紹介いたします。