日本の、そして美濃陶芸の現在を代表する陶芸家、鈴木藏(1934年生まれ)は、荒川豊蔵(1894-1985)に続き、二人目の「志野」における重要無形文化財保持者(人間国宝)です。令和6年度、文化功労者に顕彰されました。
鈴木藏は岐阜県土岐市に生まれ、多治見市市之倉の丸幸陶苑に勤務する父の助手として働く中で、本格的にものづくりの道へと進むことになります。1966 年に31歳で独立。 薪窯でしか焼けないとされていた 「志野」 にガス窯で挑戦し、 自然への畏敬の念を重んじ、伝統を大切にした中から独自の作陶スタイルを確立していきます。
「志野には日本人の美意識の独特さと素晴らしさがある」と語る鈴木藏。作品を作るなら「新しくて、力強いもの」という姿勢を崩さず今日まで取り組んできました。
本展では2024 年12月に卒寿を迎えた鈴木藏の初期から最新作までを一堂に展示します。古典を大切にしつつ自らの美意識を映し出した、独自性に富んだ作品を展示し、鈴木藏の軌跡と“今”を紹介します。