京都・大徳寺のそばにある Kura Monzen galleryが今年の締めくくりに お届けするのは、
アーティスト:チャールズ・リンゼイによる没入型の個展『PLEASE FORGET (EVERYTHING)』です。
「AIは感情を持てるか? 感情を持てたならば、意識を持つことができるのか? そして意識を持てたならば、悟りを開けるのか?」
という問いを投げかけ、思索を促す個展です。

この展覧会のコンセプトは、チャールズ・リンゼイがNASAに対して "火星の退役探査機を使って禅庭を作る" という提案をしたことに由来します。
そのアイデアはさらに発展し、パンデミック初期にチャールズが "AIと意識に関する疑問" を禅僧:伊藤東凌に投げかけたことで
新たな展開を見せました。この問いに興味を惹かれた東凌は、チャールズを 建仁寺 両足院での展示に招待したのです。
禅仏教の「初心」の教えに基づき、忘却と許しを通じて柔軟な変化を促すプロセスを活かし、リンゼイは新たな作品群を「公案」として提示しています。「公案」とは、論理的な思考を超え 突然の悟りを得るための準備として構成された逆説的な禅の教えです。

今回のキーとなるのは、"特徴的な黄色の駐車場精算機"。2台、それぞれ京都とサンフランシスコの禅庭に設置されます。
日本各地の駐車場で目にするこの機械。地球規模に張り巡らされた "AIネットワーク" を連想させるそれぞれの精算機は、
自我を持つ可能性を秘めたAIの象徴として描かれています。他の多くの作品も、このテーマをさらに広げて探求しています。
今回はこの展覧会を、Kura Monzen gallery と 建仁寺 両足院での同時開催という形で開催します。
ぜひそれぞれの会場で、チャールズ・リンゼイが生み出した世界を体感・没入してください。

【 チャールズ・リンゼイ 】
1961年生まれ、サンフランシスコ出身。時間、技術、生態系、記号論のアイデアを融合させた、複数分野にわたる作家。
彼の作品には、没入感のある環境や心に響く音響空間、動きのある視覚芸術が含まれており、多くは宇宙航空やバイオテクノロジーの廃材を使用して制作され、観る者に思索を促す彫刻作品となっている。リンゼイはグッゲンハイム・フェローであり、SETI研究所のアーティスト・イン・レジデンス・プログラム「SETI AIR」の創設者、さらにニューヨーク・タイムズのベストセラー作家としても知られ、科学と芸術表現の新たな地平を切り拓く存在として評価されている。現在、日本の京都に在住し、意識の研究に没頭しており、AIの最前線とその人類の未来への影響を探究しながら、芸術と技術の交差点で新しい表現を模索している。