日本では春夏秋冬の四季の中で、季節ごとの花や色彩を生活に取り入れ日々の暮らしを楽しんできました。多くの作家が身近な自然にテーマを求め、春の花だけでも椿や桜、牡丹などをさまざまな作品として表現しています。身の回りにある花々だからこそ、それぞれの技法や個性が際立ってきます。さらに工芸作品では、花を生活に取り入れるための花器も数多く制作されてきました。

本展は国立工芸館の所蔵品を中心に、春から夏にかけて咲く花などの植物をテーマにした工芸・デザイン作品と花のためのうつわをご紹介する展覧会です。作品に登場する花々は本展の会期中、身の回りで目にすることのできるものを集めてみました。本展を通し身近な自然と工芸・デザインの関係に改めてご注目ください。

※会期中一部展示替いたします。
前期: 3月14日(金)~5月6日(火)/後期: 5月8日(木)~6月22日(日)

【テーマ展示 本と暮らす】
明治から昭和の時代に活躍したグラフィックデザイナー、杉浦非水(1876-1965)の旧蔵本の一部をご紹介します。
会場:国立工芸館 芽の部屋

<本展のポイント>
▶ 身近な花から工芸の魅力を再発見
作家にとって花はもっとも普遍的なテーマのひとつです。その美しさを写実的にとらえ、さらに装飾化された多様な表現は、観る側にも新たな視点や発見を見せてくれます。

▶様々な作家の眼を通した多彩な花の表現に注目
同じ植物であっても作家によってその表現はさまざま。作家の眼と心がとらえたイメージと工芸ならではの豊かな素材と技法をご鑑賞ください。

▶工芸館でお花見を
展覧会の会期中に実際に咲いている花をモチーフにした作品を展示しています。春の散策に、桜や豊かな新緑とともに工芸の名品をお楽しみください。

<展示の構成>
1. 花を象る
春から夏にかけて、実際に咲いている花をモチーフにした作品をご紹介します。作家それぞれの技法をもとに、花の姿をどのように作品としたのか、野の花を見るようにご鑑賞ください。

2. 花を想う
実際の花のイメージや作家の心象から、具象的な花の形をとらずに作品が制作されることがあります。現実の花ではなくとも花の姿を思い起こさせる作品をご紹介します。

3. 花と暮らす
日常で使われる器や、花を活けるための花瓶や花器など、花を暮らしに取り入れた作品をご紹介します。もし家にこの作品があったら?と想像しながら作品をお楽しみください。国立西洋美術館からの特別出品作品もここで展示します。