19世紀以降、北欧では独自の芸術が開花します。それまでフランスやドイツの美術に範を取っていた画家たちは、自国の風土や文化、歴史に関心を寄せるようになり、氷河と森が織りなす固有の風景や、古くから伝わる神話・民間伝承が、絵画主題として人気を博しました。とくに世紀転換期の1900年頃は北欧美術の「黄金期」と呼ばれ、ノルウェーのエドヴァルド・ムンクやフィンランドのガッレン=カッレラなど、後に西洋美術史に名を連ねる画家たちが活躍しました。
本展は、日本では目にすることの少ないノルウェー、スウェーデン、フィンランドの絵画が一堂に会する貴重な機会です。ノルウェー国立美術館、スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館が所蔵する47作家、約70点の作品を通して、「自然」「神話・お伽話」「都市」というテーマを軸に、19世紀後半から20世紀前半に描かれた北欧絵画の魅力をひもときます。北欧の画家たちが紡ぎ出す神秘的な絵画世界をぜひお楽しみください。