ISSEY MIYAKE SEMBAのCREATION SPACEでは、ISSEY MIYAKEによる特別展示「On Kamiko ー紙衣によせてー」を開催します。

和紙──日本人の生活に古くから息づき、ISSEY MIYAKEの服づく作りに新たな表現をもたらしてきた素材。この和紙や紙素材への深い着想から生まれた ISSEY MIYAKE 2025年春夏コレクションは、「The Beauty of Paper」をテーマに掲げています。紙が持つ視覚的・触覚的な質感、その質感が生む感情への影響に光を当て、紙の持つ普遍的な親しみやすさと、詩的で原初的な魅力を併せ持つ衣服が生まれました。
コレクションの起点となったのは、和紙を用いた「紙衣(かみこ)」を仕立てることでした。麻の繊維から作られる「麻紙(まし)」を素材とした紙衣は、千年以上続く和紙の歴史と、その伝統的な製法への敬意から生まれました。同時に、和紙文化を現代の生活に新たに息づかせ、未来へとつなげる試みでもあります。

本展では、コレクションで発表した紙衣を中心に、その制作過程を追った映像を上映します。希少な国産麻を種から育てる麻農家や、1300年の歴史を持つ和紙工房とのものづくり現場を映し出しながら、和紙の魅力、完成した紙衣について語る工房の声を映像で伝えます。また、和紙や紙素材を探求するに至った背景やコレクションへの想いを、デザイナー近藤悟史が振り返る場面も収録しました。さらに、インスピレーションの源となった広島・尾道の宿泊施設LOGを舞台に撮影した2025年春夏のシーズンビジュアルを展示します。
国産麻の収穫から加工を経て、手漉きされた和紙を折り、何度ももみほぐす作業を重ねて生まれた現代の紙衣には、自然と人の技が織り成す有機的な時間の流れが宿っています。和紙で設えた空間に身を包まれながら、その豊かさと美しさをご体感ください。
展覧会名