「不在をつくることで存在を示せるかもしれない」
制作中にメモした走り書きがある。

表裏から彩った人型の絹布を2018年から染め始め、数が増えてきた。
鑑賞者の中に存在する誰かに成り得るように、表情はなるべく描かない。
もしくはその誰かは、私自身である可能性もある。
男性か女性か、年齢、国籍も特定できない人物像。
今回新たな試みとして、直接的に人を表現しない「不在の布」を配置した。
それは他者と私の、間(余韻)であり、繋ぐものでもある。

不在は、ときに存在を強く意識させる。