HAPSは、京都市にゆかりある若手アーティストの作品販売を支援するため、アートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術手帖」にオンラインギャラリー「HAPS KYOTO」を出店するとともに、「HAPS KYOTO」の出展作品をオフラインで直接ご覧いただく展覧会シリーズ「HAPS KYOTO selection」を定期的に開催しています。

この度、「HAPS KYOTO selection」第7回として、写真・映像を題材として扱うアーティストの澤田華をフィーチャーし、HAPS KYOTO selection #7 澤田華「リビング・デッドの足並み」展を開催いたします。

澤田は、私たちが日頃見過ごしてしまいがちな日常の経験における小さな違和感を、写真や映像を中心とした多彩なメディアのインターフェース上に強調・分解することを通じて、知覚や記憶、それを記録する手段の不確かさと可能性を提示します。
本展では、映画史における古典とされながら事実上のパブリック・ドメインとなっている作品を活用し、HAPSの環境をも取り込んだ新作を含む、計3点の映像作品を展示いたします。
HAPSの夜に出現する「リビング・デッド」を、ぜひ間近でご高覧ください。


■ステイトメント
プロジェクターを懐中電灯のように携えて、部屋や街を照らしながら、ゾンビのように彷徨い歩いた。投影している映画の像は、平滑なスクリーンから解放されたように、さまざまな物の表面に憑依しては、また別のところへするすると滑っていく。

いつの間にか緊迫したシーンに引き込まれる。ふと段ボールの文字や置物が気になる。ゾンビは窓ガラスを破って庭石の中から出てこようとするし、立ち上る炎はキッチンの隅を照らす。

そうしてこの映像を見るとき(あるいは日頃も)、何を掴み、何を掴み損ねているだろうか。無意識のうちに補正したり無視したりするのが上手なわたしたちは。
(澤田華)


◼️アーティストプロフィール
澤田華(さわだ はな)
1990年京都府生まれ。2016年京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程修了。
自身の経験の中で生じた些細な疑問や引っ掛かりを起点に、写真・映像をはじめとした様々な表現形態を用いて制作を行う。普段は何気なく受け入れてしまう行為や経験を、過剰にしたり分解したりすることで混乱を生じさせて、そこで起きていることを顕在化させようと試みている。
近年の主な個展に、「ビューのビュールーム」(山山、2024年)、「避雷針と顛末」(Gallery PARC、2022年)、「夏のオープンラボ:澤田華 360°の迂回」(広島市現代美術館、2020年)、グループ展に「吹けば風」(豊田市美術館、2023年)、「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」(東京都写真美術館、2022年)、「あいちトリエンナーレ2019 情の時代 」(愛知芸術文化センター、2019年)など。