ただ単なる写生ではなく限られた画面の中に無限に広がる宇宙を、その雄大さをとらえ、時代に流されることなく呼吸し続ける生きた絵を描き続けたい――――――梅津五郎

-----------------------------------------------------------

【梅津五郎プロフィール】
 1920年(大正9)山形県白鷹町浅立に生まれる。
18歳の時画業を志して上京。森田茂、熊岡美彦の両氏に師事する。東光展と日展を主な発表の場として、1956年(昭和31)の第12回日展において、自らが働く中華料理屋の厨房を描いた「調理場」で特選を受賞、独特の生活感が評価される。
 1962年(昭和37)、42歳の時にフランスに留学。フランス滞在中にサロン・デ・ボザール展に初出品し準会員に推挙される。フランス滞在以後色彩が豊かで鮮やかになり、帰国後極めて厚塗りのタッチで日本の風景を描く。
 1980年代からは、日本の風景に加え、自らのアトリエ(新宿区下落合)から見える街の風景や月を描いた作品が多くなり、新境地を示す。
 東光会理事長、日展参与などの重責を担いながら一方で売り絵を描かない、注文の絵は描かないという厳しい姿勢を貫き、市場の評価を犠牲にしながらも主要作品多数を手元に置いておいた。晩年郷里の白鷹町に代表作など120点余を寄贈。 2003年(平成15)83歳で没する。
 また、2022年(令和4年)新たに117点の作品が遺族から寄贈された。

-----------------------------------------------------------

今回は、2022年に新たに寄贈された作品と、春の到来を感じさせる作品を中心に展示します。