実篤は季節が移り変わるごとに詩を書きました。「一寸(ちょっと)おどっても見たい/春の日。」と春には心を躍らせ、「よろこべ。夏が来た。/生命の燃え上る夏が来た。」と夏からは力を得、「秋になった/心の底の底まで秋がしみこむ。心がすがすがしくなる。」と秋には心を落ち着かせ、「冬になった/寒い、だが身がひきしまる/正月らしい風がふく、/新な力をもって立上りたくなる。」と冬の寒さと決意を表現しました。四季折々の草花や野菜を描いた画、短編戯曲「秋の曲」などの文学作品、季節にまつわるエピソードなど、実篤が感じた春夏秋冬を紹介します。