4月19日 (土) より hide gallery では、出口朝子の個展「VOICE」を開催いたします。

出口朝子は日本画を基盤とし和紙や墨、箔、鉛筆などといった素材を用いて、線やかたちを作り出し描く抽象画家。
自身が生業とするデザインの感性を生かし、繊細でありながらも大胆な画面構成が特徴。1997年 京都精華大学日本画専攻を卒業後、2004年から京都を中心にコンスタントに作品の発表を続けてきた。
日々の暮らしや、文学、音楽から受けとる感覚を、線やかたちへと昇華し、それをまた他者に手渡すことを願う出口。
これまでも、自身が生活の拠点とする滋賀県 琵琶湖のほとりからインスピレーションを得た〈湖、光〉(2016, アートスペース虹)、カナダの小説『冬の眠り』原題:The Winter Vault をもとにした〈いくつかの言葉〉(2024, ギャラリーモーニング)など、自身の関心と一貫した主題をもとに制作を続けてきた。
本展は、これまで慣れ親しんだ空間で継続的に発表を続けてきた出口にとって、新たに空間との対話を試みる場となる。hide gallery の空間と出口の感性が交差する本展に出現する景色を楽しみにしたい。



日々の暮らしや、少し純化された文学や音楽から受け取るものが線になり形になる。
それをまたどこかの誰かに手渡す事が出来たら嬉しい。言葉に置き換えられない線や形を見てみたい。

この〈VOICE〉シリーズは、物語(オーストリアの小説『野原』原題:Das Feld)に着想を得て描き始めた。墓地でもある野原を舞台に名もなき29名の死者が自らの人生を語ってゆく。紡ぎ出される生と死にまつわる言葉に心が反応する。言葉と線やかたち、和紙の肌理が響き合いゆっくりと一枚の絵が立ち現れた。―出口朝子