山王美術館は、2024年8月に開館15周年を迎えます。
15周年を記念して「山王美術館コレクションでつづる 印象派展」を開催いたします。

19世紀末のパリは産業革命を背景に急速に近代都市へと発展を遂げます。一方、絵画界においては、神話や聖書を題材とする「歴史画(物語画)」を優位とし、伝統的な技法を遵守するアカデミスム絵画がいまだ主流であり、サロン(官展)への入選が唯一作品発表の場でした。
こうした時代にあらわれたのがのちに「印象派(印象主義者)」と称される画家のグループです。モネ、ルノワールらを中心とする画家たちは、クールベやマネによる写実主義を継承しながらも、アカデミックな価値観にとらわれない、新たな絵画表現をめざしました。光のもとで制作することを重視した彼らは、絵具を混色せずに並置する「筆触分割」という新たな技法を生み出します。印象派の画家たちは、明るさを失うことなく戸外の光を表現することを可能とした技法を用い、自らが生きる同時代の風俗を主題とすることで、ルネサンス以来の西洋絵画における色彩の観念を根底から覆す革新的な絵画を生み出したのです。1874年には、画家たちだけの手によるグループ展を開催しますが、「印象派」の名称は、この第一回展に出品されたモネ作≪印象、日の出≫に由来します。最後となった第八回の印象派展には、シニャック、ゴーガン、ルドンなども出品しており、印象派の影響のもと、より新たな絵画の流れが形成されることとなりました。

本展では、印象派の先駆者ともいえるコロー、ミレー、クールベから、印象派における中心的な存在として活躍したモネ、ルノワール、ドガ、シスレーらのコレクション作品を展示いたします。