片山高志は「未分化なモノへの眼差」の中で、スタイルを変えながら対象と向き合い作品を制作する岡山出身の画家です。独学で絵画の制作を始めた片山は、常に揺れ続ける自己と対話するように、色を選び、絵を描きます。それは過去や記憶が、変わり続ける今の自身の位置から常に揺れ動くように、その言葉にならない揺れ動く自身の瞬間を絵画の中に留めていく行為にも見えます。その行為の中で選び取られる対象が誰も目を向けない無意味なものであったり、忘れ去られていく風景なのは、必然であるようにも感じます。
本展ではタイトルが示すように、その捉えどころのない未分化な「何か」、その言葉ではなく色でしか表現できない「何か」をキャンバスに留めた、片山の「今」が込められた作品展になります。意味を忘れて、色と鑑賞者の記憶が融和した時に広がる鑑賞者だけの意味のある体験を、ぜひお楽しみください。[美術館サイトより]