浜口陽三の銅版画、墨絵とともに、現在活躍中の作家5名(後藤理絵、重野克明、染谷悠子、西久松綾、吉増剛造)の作品を一堂に展示します。
銅版画、絵画、日本画、書、詩が並ぶユニークな展覧会です。



江戸時代、1 7 世紀半ばに生まれた南画は、昭和前期まで文化の一大潮流でした。
浜口陽三の銅版画作品にも南画の影響があります。
この展覧会では、こころみに現代の中に南画をさがします



美術評論家の洲之内徹は、「浜口陽三の仕事の根底には宋元写生画の構図が横たわっている」と言う。宋と元の写生画とは南画のことである。陽三の父君の第十代儀兵衛は、小室翠雲に師事して南画を学んだ。さらに数代前の浜口灌圃は、紀州の南画家の野呂介石の弟子だった。陽三と南画の世界との親和性は、浜口家の伝統である。詩と書と画、その三つを表現するのが正統的な南画家=文人画家だが、現在、その系譜に連なる作家はなかなか探せない。しかし、南画の伝統を意識しながら、新しい表現を模索する現代美術家や詩人、書家は存在し、活発な活動を続けている。

そうした南画のスピリットに照応しあう現代の作家たちの作品を展示することで、「新しい南画の世界」を表現したい。

展覧会顧問:林 浩平 (詩人、前恵泉女学園大学特任教授)
2017年NHK放送大学「文人精神の系譜-与謝蕪村から吉増剛造まで」