宗教や信仰、文化が出会うとき、崇敬対象となる〈聖なる存在〉は変容していきます。
 神道や日本の神々については、しばしば「自然の働きの中に神を見出した」と説明されます。しかし、大陸からもたらされた仏教をはじめとする様々な文化や宗教・思想が展開する中で、古典に見えたり、神社に祀られたりする神々が変容することもありました。それらは、神社の由緒や神々の霊験を記した物語、図像や立体的な尊像、限られた人々にだけ伝授された秘説の中などに見ることができます。そこからは、仏教の概念を用いた古典神話の二次創作、神と仏との関係、人間と同じように苦悩する神々など、現在のイメージとは異なる神々の姿を見つけることができるでしょう。日本の神々は古代から変わらなかったのではなく、時代に応じて変化していく存在でもあったのです。
 本展示では國學院大學が所蔵する資料から、神々が様々な思想・信仰・宗教と関わり合いながら変貌していく神々の様子を見ていきます。