野獣とは、文字通り「野生の獣」を指し、本能のままに荒々しく生きているようなイメージがあります。一方、人間は、高度な言語や技術を開発し、文明を発展させてきました。
人間は、野獣とは全く異なる存在に思えるかもしれません。しかし、人間は野獣ではない-と言い切ることができるでしょうか。かつて人間は、自然の中で獣と共に生きていたはずであり、今を生きる私たちにも「野獣」のような性質が潜んでいるのではないでしょうか。
当館は、今年で開館35周年を迎えます。コレクションの収集方針の一つが「人間像」であることから、長年にわたって「人間」というテーマに取り組んできました。本展では、人間の中の「野獣性」を見つめ直し、美術を通して人間の根源に迫ります。20世紀の巨匠や現代アーティストによる、言葉や理性ではとらえられない内面や衝動を表出させた作品や、人間と自然界との原初的な繋がりを表現した作品を展示します。[美術館サイトより]