十大弟子とは釈迦の優れた十人の弟子たちです。平成6年(1994)、釈迦が入滅した歳と同じ80歳(数え年)を迎えた西村公朝は、十大弟子像を年に一体ずつ彫ることを発願しました。公朝は、仏典や学術書の記述、古寺の作例を通してそれぞれの人物像を明確に持ち、造形としての表現に挑みました。10年目の平成15年(2003)10月、病と闘いつつ最後の「迦旃延」を完成させ、12月2日、88歳(満年齢)の生涯を静かに閉じました。いずれもヒノキ材を用いた一木造りで、公朝が刻んだノミのひと振りひと振りがわかるほど荒い仕上げです。素朴ながら、それぞれの個性を的確に表した十大弟子像は、公朝が生涯追求し続けた祈りの造形の精華と言えます。

本展では、《十大弟子像》(京都・愛宕念仏寺蔵)とともに、公朝が構想にあたり残したデッサン、研究資料などを展示します。さらに公朝の晩年のあゆみも紹介します。また、展覧会開催を記念して、公朝の業績を紹介する「西村公朝展示室オンライン」をホームページに公開予定です。