明治終わりから昭和にかけて活躍した近代京都画壇の日本画家「西堀刀水」展を開催いたします。
 西堀刀水(以下、刀水)という画家は、同じく日本画家・版画家として著名な吉川観方に最初に絵の指導を行った師として、吉川観方の経歴説明では必ず名前が出てくる画家です。しかしながら美術館・博物館等での作品収蔵がほとんどなく、これまで「謎の日本画家」とされ、研究も進んできませんでした。
 島根県雲南市にある鉄の歴史博物館では、この刀水が昭和期に描いた「鍛冶祖神御像」を所蔵しており、それをきっかけとしてこの画家の事績を令和3年度から継続調査してきました。その過程で、彼が近代京都の日本画家として特筆すべき人物であることがわかってきました。本展覧会はこの刀水の事績と、「鍛冶祖神御像」をはじめとした作品30点の歴史的価値の調査結果の報告展示となります。
 また、本展覧会会期が終了する令和8(2026)年は刀水の生誕140年の記念の年になることから、これまで埋もれてきた彼の業績を顕彰する機会としたいと考えています。