着物の表面を華やかに飾る模様は、モチーフや色彩の面白さ、バリエーションに富んだレイアウトなど、見た目のデザインだけでも着用や鑑賞を楽しむことができます。

そんな着物の模様をより深く楽しんでいただくために、本展では、千總が近代に型友禅などで染めたきものの裂(きれ)アーカイブを展示し、それらを別の様々な作品と関連付けてご紹介します。
例えば、文学作品を題材とする模様の裂地は、源泉となった江戸時代の小説の現物や、主題が共通する作品とともに展示します。近代に百貨店で販売された記録がのこっている裂地については、商品としてどのような宣伝文が添えられていたか、当時掲載された雑誌ともにご覧いただきます。

着物の模様は多様な切り口で世界と紐づいており、自由な楽しみ方ができるものです。もしかしたら、着物があなたを、まだ見ぬ世界の美や楽しさと結びつけるかもしれません。本展がその発見のきっかけとなれば幸いです。