1984年に、藤澤武夫氏(1910-1988)からご寄贈いただいた、20世紀美術のコレクションを総合的に紹介するはじめての展覧会です。
藤澤氏は、創業社長の本田宗一郎氏とともに、主に経営面を担当する副社長として、本田技研工業株式会社を世界有数の自動車・二輪車メーカーに育てた企業家です。藤澤氏は企業経営のかたわら、多方面の芸術の熱烈な愛好者として、多くの芸術家と親交を結び、ご子息の藤澤知之氏とともに、さまざまな美術作品の収集もおこないました。
小原國芳(1887-1977)が創立した玉川学園の教育理念に共鳴した藤澤氏は、学園の発展のためにも多大なる協力を惜しみませんでした。新館設立の計画があった玉川学園教育博物館(現在の玉川大学教育博物館)に対しても、収蔵品の充実と展示・教育活動のために役立てて欲しいというご芳志により、112点にのぼる20世紀美術コレクションをご寄贈くださいました。
20世紀の美術では、それまでの絵画・彫刻の形式にとらわれない新しい表現が試みられ、素材も多様化しました。国際的視野にたった芸術運動も増大し、美術の概念が大きく変貌した時代でした。本企画展では、表現の様相をもとに設定した9つのテーマに沿って展示を構成し、藤澤武夫氏寄贈20世紀美術コレクションの特色や魅力を多角的に紹介します。
20世紀美術の多彩な表現とその魅力を、ぜひご堪能ください。