日本画家・中島菜刀(なかじまさいとう・1902-55)は現在の鳥取県・八頭町に生まれました。早くより画家を志し、周囲の援助もあって京都市立絵画専門学校(現 京都市立芸術大学)へ入学します。苦学の末に同校を卒業し、色彩豊かで抒情的な作品の数々を発表して院展での入選を重ね、1942年には故郷・鳥取の果樹園に取材した《薫風梨園》で第29回院展の絵画の部における最高賞を受賞しました。今後の更なる活躍が期待された矢先、戦局の悪化によって活動の場を奪われ、戦後も中央画壇への復帰を果たせぬまま、1955年7月19日に53歳で病没します。

本展覧会は菜刀の没後70年を記念し、青年期を中心とする前編、晩年までの後編に分けてその画業をご紹介するものです。