婦木加奈子は、誰しもが日々を生きる中で繰り返す洗濯や料理といった生活の行為に注目し、身近な世界の中に作品を介在させることで、何気ない風景を個人的な視点を交えて彫刻として再構築するアーティストです。
日々の暮らしの中で繰り返される行為や、積み重なった行為によって形作られる日常的な風景、生活の中で繰り返し使われてきた衣類や古家具、身近な日用品から遠い古の建物に至るまで、婦木は人が暮らす営みの痕跡を拾い上げ、手芸的な方法によって形を与えようとします。道具のようでもあり、装飾のようでもありながら、そのいずれでもない、身近な風景と地続きに存在するものとして彫刻を制作していると婦木は言います。
日々の中で幾度も繰り返され、絶えず変化し、現れては消えていく捉えどころのない風景を、一瞬に留まった姿として形に残す試みを、ぜひご覧ください。