鴨居玲の没後10年にあたる1995年に出版された、画家の半生を記録した写真集『鴨居玲 -富山栄美子撮影』(1995)。同写真集に掲載された写真に未発表写真を加えた約90点の鴨居玲のポートレートと、鴨居作品約30点を紹介し、作家のパーソナリティからその芸術に迫ります。
鴨居玲は、生涯をかけて「人間とは何か」を問い続けた画家で、没後40年を経た今もなお多くの人を惹きつけています。作品と私生活やパーソナリティを重ねられる作家でもあり、生前を知る者は、こぞって人好きのする容貌や人となりを語り、いかに人々が彼に魅了されたことを伝えます。しかし外面の華やかさとは裏腹に、常に行き詰まり、希死の念にさいなまれ、1985年に57歳でこの世を去ります。
富山栄美子は、彼の半生を15年以上に渡り撮り続けたフォトグラファーです。1971年にスペインで鴨居と生活を始めたとき、「これからは私だけを撮り続けてもらえないだろうか」と請われ、一人の画家の生涯を撮り続けることになりました。ファインダー越しの鴨居は気取っていたり、おどけていたり、苦悩していたりと様々な表情を見せます。画家のパーソナリティから迫る本展で、「作品はすべて自画像」という鴨居作品に通底する「人間とは」という問いへの、鑑賞者それぞれの答えを見つけていただければと思います。