鴨居玲(1928~1985)は絵を描くひとであり、絵になるひとでもありました。

画家・鴨居玲の半生を記録した写真集『鴨居玲』(富山栄美子撮影/1995発行)に掲載された写真に、未発表を加えた約90点の鴨居のポートレートと、30点超の鴨居作品、豊富な資料で鴨居の魅力を紹介します。

「作品は全て自画像」とされ、そのため鴨居ほど作品と私生活やパーソナリティを重ねられる作家は稀でしょう。生前を知る人は、口々に彼のかっこよさや人となりを語り、いかに彼に魅了されたかを伝えます。しかし人気作家の華やかさとは裏腹に行き詰まりを抱え、1985年に57歳で逝ってしまいます。

そのような鴨居玲を15年以上にわたり撮り続けたのが、フォトグラファーの富山栄美子です。1971年にスペインで「これからは私だけを撮り続けてもらえないだろうか。」との鴨居の言葉を受け、一人の画家の生涯を撮り続けることになります。ファインダー越しの鴨居玲は気取っていたり、おどけていたり、苦悩していたりと様々な表情を見せます。鴨居作品に通底する「人間とは」との問い。鑑賞者それぞれの答えを見つける時間となれば幸いです。